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農業でも対象となる補助金・助成金
農業でも対象となる補助金・助成金

辻川 孝仁
民間コンサルタント
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2025/03/10
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経済産業省の補助金における農業の扱い
事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金などなじみ深い補助金は経済産業省が実施しているのですが、農業は他業種と比べ、気候や土地の状況などの自然環境に大きく依存しており、生産が不安定であることや、生産サイクルが長く即座に収益化することが難しいことから、他の産業と一緒くたにして支援することが難しいため、補助対象とならなかったり、特殊な要件を課されたりなど特殊な扱いを受けています。
それでは補助金ごとにそれぞれ農業に関してどのような規程がされているか見てみましょう。
・事業再構築補助金
不採択となる事業のひとつに「農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が1次産業(農業、林業、漁業)である事業」が挙げられています。
このようにこれから新たに農業に取り組む場合は補助の対象外となってしまうのですが、一方で「農業協同組合法に基づき設立された農事組合法人」は補助対象であると書かれているため、現在行っている事業が農業である場合は補助を受けられる可能性があるということです。
また、「農業に取り組む事業者が、同一構内の工場において専従の常用従業員を用いて、農作 物の加工や農作物を用いた料理の提供を行う場合など、2次又は3次産業分野に取り組む場合に必要な経費は、補助対象となります。」という記載もあり、農業の延長で加工を行う場合も対象となります。
・事業承継引継ぎ補助金
事業承継引継ぎ補助金では、農業法人や個人農家は補助対象となるが、農業協同組合は補助対象外という規程があります。
こちらは事業内容というよりは法人格によって区別していて面白いですね。
ですので補助対象の事業が農業であることは問題ありません。
ただし、経営革新型で事業再構築に資する事業として申請する場合は事業再構築補助金の規程が準用されるため、対象外となってしまうことには注意が必要です。
事業承継引継ぎ補助金は後継者が企業の経営権を引き継ぐことによって企業の発展と地域経済への貢献を目的としています。
組合や社団法人は非営利団体であり、会員の交代や構成員の変化により運営が変わることから経営権の引き継ぎとは言えないため法人格により補助対象者の線引きがされていると考えられます。
・ものづくり補助金
ものづくり補助金ではこれまで紹介した他の補助金とは違い農業についての規程はされていません。そのため経済産業省の補助金の中でも比較的申請しやすい補助金であるといえます。一方で前回公募は全体の採択率が1/3程度と低く、革新性や生産性の向上が他の応募者より秀でていることを示さないといけないためハードルが高いと言えます。
過去に「農業生産管理を一元化するシステムを構築」「接木ロボットの導入によるリレー生産体制の構築」などの採択事例があるので、これに似た事業をお考えの方は、次回19次公募が4月25日に締め切られるので、チャレンジされてみてはいかがでしょうか。
・IT導入補助金
IT導入補助金は農業も対象となります。
会計ソフトや給与計算ソフト、生産管理システム、農作業の遠隔操作ツールなど幅広い業務が対象となっており、経済産業省の補助金の中ではもっとも活用しやすい補助金の一つと言えるでしょう。
農林水産省の補助金
このように経済産業省の補助金ではなかなか受給ハードルの高い農業ですが、代わりに農林水産省が手厚くサポートするような体制が取られています。
今年だけでも100以上の補助金が既に公募されていることからもその手厚さが伺えますね。
今回はそのなかから公募締切が一番遠い(といっても今月末ですが)紹介したいと思います。
国産飼料生産・利用拡大緊急対策事業(3/26締切)
補助対象事業
1)飼料生産組織の体制強化支援
2)飼料作物の生産性向上対策
3)国産飼料の流通推進対策
4)国産飼料流通拠点整備対策
補助対象経費
1)備品費
2)事業費
3)旅費
4)謝金
5)賃金
6)委託費
7)役務費
8)雑役務費
9)事業推進費
補助率・補助上限額
補助率は経費や取組によって異なり定額か1/2となっています。
事業者単位での補助上限は設定されていません。
経済産業省の補助金では対象経費とされることが珍しい賃金・役務費・備品費・旅費・消耗品や原材料などが対象となっているのは特徴的です。
機械設備の購入や倉庫の設置なども対象となることから補助対象の幅はかなり広いと言えます。
この補助金だけではなく、他の補助金では複数年に渡って補助が下りるなど対象業種を限定している分手厚い支援が行われています!
厚生労働省の助成金
キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金のような厚生労働省が実施する助成金では、基本的には業種の縛りはなく、雇用保険適用事業所であることが基本要件とされています。
もちろん助成金によってプラスαで要件が求められるのですべてというわけにはいきませんが、農業においても支援を受けやすい制度と言えるでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
業種によって補助金の扱いが違ったり、手厚く支援してくれる省庁があったりと奥が深くて面白いですね。農業の他にも芸術分野は文部科学省(文化庁)が支援していたりします。
有名どころの補助金では補助対象とならなかった方も管轄のHPを調べてみると対象となる支援制度が見つかるかもしれません!
それではまた、次回の記事もお楽しみに!